令和5年1月29日 礼拝メッセージ:証集:海外での主のめぐみ:南インドケララ州での証(2)、「日本からケララを訪れた医師たち」

聖書:

マルコ福音書10章15節
「よく聞いておくがよい。だれでも幼な子のように神の国を受けいれる者でなければ、そこにはいることは決してできない」

前奏:

 

私達はケララから福岡に2004年一月に一時帰国をしたときに、福岡のホスピスの会に電話をして緩和医療に携わっておられる医師がおられないかと問い合わせをしました。ちょうどその電話を深堀さんというクリスチャンのご婦人が受けてくださり、「そういうことでしたら、是非とも患者さんに優しい診療をされている「にのさかクリニック」の院長である二ノ坂保喜先生にコンタクトを取られたら良いですよ。」と紹介してくださったのです。夫と私は早速「にのさかクリニック」をお訪ねしました。先生はケララの医療事情をお話すると大変関心を持ってくださったばかりでなく、是非とも11月にケララの緩和医療主催で行われる「緩和ケアの国際ワークショップ」に参加したいと仰ってくださったのです。その上、その時初めてお会いしたにもかかわらず、5月には公民館を借りてくださって夫の講演会を企画してくださったのでした。

 

二ノ坂保喜(にのさかやすよし)先生のプロフィール:

1950年長崎県生まれ。長崎大学医学部卒。長崎大学第一外科で研修のあと、救急医療、地域医療の現場で経験を重ね、福西会病院などを経て、1996年、福岡市で、「にのさかクリニック」を開業。2005年に、さまざまな職種とのネットワークによる「ふくおか在宅ホスピスをすすめる会」を設立。2011年には、地域生活ケアセンター「小さなたね」を地域の人々とともに開設。「バングラデシュと手をつなぐ会」「NGO福岡ネットワーク」など国際保健医療の分野での持続的な活動を行っている。2014年、日本医師会第3回赤ひげ大賞受賞。在宅医として在宅ホスピスに取り組む。著書に「在宅ホスピス物語」(青海社)、「在宅ホスピスのススメ」(監修、木星舎)、「病院で死ぬのはもったいない」(春秋社)などがある。

二ノ坂保喜先生

二ノ坂先生の活動

 

また、私は小児ホスピスに関心がありましたので、小児の血液癌専門医である稲田浩子先生を久留米大学病院にお訪ねして、ケララのカリカット大学の小児科で講演をしてほしいとお願いしました。あまりにも唐突だったせいか先生はびっくりされておられましたが、その後お引き受けくださったのです。

 

稲田浩子先生のプロフィール:

小児科専門医、小児血液・がん学会専門医。医学博士。

延ご夫妻

稲田(延)先生

久留米大学卒業後、同大学の小児科で23年間小児がんの治療、治った人たちのフォローアップ、緩和ケアに携わり、現在は久留米市のゆうかり医療センターという障害者医療施設に小児科部長として勤務。また、Life Workである小児がん経験者のフォローアップ外来を続けている。小児がん経験者で当時大腸がんの再発を繰り返していた高校教師であったご主人の延哲也(のぶてつや)さんとの結婚を決意したことで大学病院を退職する。2年後に哲也さんは他界し、短い結婚生活であったが多くの学びと宝を夫は残してくれたと話す。NPO法人 パルサポートキッズの会の会長として活躍している。

 

私は素晴らしい出会いがあると、一緒に何かをしたいという望みが沸々と湧いてくる衝動を押さえられない性格があるようなのです。こうして二ノ坂先生と奥様の富士子さん、高校生だったご次男、建史さん(現在は、「にのさかクリニック」の院長)と稲田先生がケララに本当に来てくださったのでした!その時の写真を皆様と分かち合いたいと思います。

 

ケララを訪れたイギリスのご夫妻が、この地にはホスピスが必要と思われ、イギリスにご夫妻が所有している土地と家屋を売って、そのお金でホスピスを建てたと言うことがありました。私達はそのホスピスで数日当直をしてお一人を看取ることができました。

緩和ケア入院施設(ホスピス)

ケララの地域緩和医療の創設者Dr. Suresh Kumar、二ノ坂先生と

右から稲田先生、二ノ坂夫人、息子さん

クリニックの前で、二ノ坂ご夫妻と

ワークショップ最後の懇親会でのダンス 

二ノ坂ご夫妻とオカリナの演奏

二ノ坂先生の講演

稲田先生の講演

 

二ノ坂先生は1989年11月1日に、特定非営利活動法人 「バングラデシュと手をつなぐ会]を立ち上げておられます。そして2011年には看護学校建設支援を始め2017年には完成して多くの看護師が各地で活躍をしています。私達もサックスのチャリティーコンサートを串本町で開催してその活動を応援させていただきました。

バングラデシュの看護学校

串本町でのチャリティーコンサート

 

また、一年間、夫は二ノ坂クリニックに勤務させていただき、在宅医療を初めて経験して多くのことを先生とスタッフ、そして患者さんたちとそのご家族から学ばせていただいたのでした。

 

稲田先生は帰国前に小児癌病棟に本を寄付してくださり、子どもたちや付添のお母さんたちからとても喜ばれたのです。

緩和病棟(ホスピス)にて

カリカット大学病院小児科にて

小児科病棟にて

小児病棟へ稲田先生が寄付された絵本

 

 

お二人の先生に共通しているのは、患者さんとご家族がどこまでも「主役」であるということに徹しておられる点です。このようなお二人を私は心から尊敬しています。医療や福祉を提供するという一方的な流れではなく、患者さんと医師またその周りの人々が共感しあい、助け合い、補い合いながら最後まで尊厳を持って生きるという、人としての大切な姿勢ではないでしょうか?

 

往々にして私達は、「あの人達は、能力があって余裕があるから、お金と時間もあるからできるけど私なんかできません。」と自分自身を過小評価してしまう傾向があります。けれども、平凡で素朴で助けがないと生きられない子どもたちの存在をイエス・キリストは最大の価値をもって「幼子(おさなご)のようでなければ天国には入れない」と言われるのです。私達も素直に「夢」をいだこうではありませんか!そしてその夢を子どもたち、孫たちに伝えてこの世を去りたいと私は願っています。

 

後奏:

 

<参考>
バングラデシュと手をつなぐ会:
   https://tewotunagukai.com/milon/milon144.pdf

NPO法人 パルサポートキッズの会:
   http://palsupportkids.org/

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