
旧約聖書物語 6−1 題:ギデオンの使命と失敗
旧約聖書:
主の使いはギデオンの前に立ち、「勇士よ、主はあなたとともにおられる」と告げました。
新約聖書:
さらに、神の子がきて、真実なかたを知る知力をわたしたちに授けて下さったことも、知っている。そして、わたしたちは、真実なかたにおり、御子イエス・キリストにおるのである。このかたは真実な神であり、永遠のいのちである。子たちよ。気をつけて、偶像を避けなさい。
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父:
前回は、ヨシュアが指導してイスラエル人はカナンの地に入ることができたというところで終わったんだよね。ヨシュアはイスラエルの土地をそれぞれ12部族にわけて、神様が与えられた律法を守るようにと言い残して死んだのだけど、彼以降は強いリーダーがいなかったので、それぞれの地域の政治や軍事指導者(士師)が選ばれた。士師は、12人いたんだけど、その中で有名なのがギデオンとサムソンかな?今日はギデオンについて学ぼうね。
前奏:「Bigger than any mountain」
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愛美:
ヨシュアが死んだあと、イスラエルの人々は、カナン人がしていたバールの偶像を拝むようになったのです。その頃、ミディアン人とアマレク人がイスラエルに侵入してきて、家を焼き払い、穀物を奪うようになりました。イスラエルの人々は洞窟で隠れながらの生活をしなければなりませんでした。
勇:
ギデオンという人が隠れて酒蔵でわらを打っていたのですが、その時に天使が現れて、神様があなたと共におられるのでイスラエルを救いなさいと告げました。
陽子:
ところが、ギデオンは「自分は一番弱い民族の生まれで、そんな大きなことをする器ではありません。」と言いました。本当に神様が自分とともに歩んでくださって勝利に導いてくださるのかどうか信じられませんでした。そこで、神様を試したのです。
父:
まず、羊の毛を外に置いて、土地は乾いているけれど羊の毛のところだけは湿らせてくださいと神様に祈りました。そうなれば信じますと言いました。すると、そのとおりになりました。
愛美:
ところが、それでも信じられないので、今度は、土地は濡れているが、羊の毛は乾いているようにしてくださいと反対のことを要求したのです。すると、どうでしょう。また、その通りになったのです。そこで、ギデオンは神様が共にいてくださることを確信したのでした。
勇:
敵のミディアン軍は13万5000人もいましたが、ギデオンの率いる兵隊はわずか3万2千人しかいなく、到底勝利ができるとは思えないほどでした。
陽子:
それなのに、神様は兵隊を減らしなさいと命じたのです。そこで、まず「戦いたくない人は家に帰ってもいいですよ。」と言うと2万2千人が去りました。残りは1万人です。
父:
ところが、神様は「さらに兵隊を減らしなさい。」と命じられたので、ギデオンは喉が渇いている兵士たちに川の水を飲んでもいいと言いますと、川の水を一斉に飲み始めたのです。その様子を見ていると、ある兵士たちは敵がいるかも知れないので片手で水をすくいながら、あたりをキョロキョロ見回していましたが、別の兵士たちは必死にただ水を飲むだけでした。こうして、選ばれた兵士はわずか300人になってしまいました。さて、こんなに兵士が少なくなって果たして敵に勝利することができるのでしょうか?
愛美:
ギデオンの作戦で、兵士たちを3つのグループに分け、夜中に突然角笛を吹き鳴らして敵の不意をついたのでした。
すると、あわてふためいたミディアン人はパニックになり仲間同士であったのに、互いに敵だと思ってお互いを殺し合ってしまったのです。こうして少ない兵士のギデオンの軍隊は大勝利を得てイスラエルは平和に暮らせるようになったのです。
勇:
人々はリーダーとして活躍したギデオンに自分たちの王様になって欲しいと頼みましたが、「真の王は神様だけであるので私も息子たちも王にはなりません。」といって辞退し、戦利品で集めた金でエフォドという祭司の着る祭りの服を作りました。これが偶像崇拝をすることになってしまったのでした。人々はこの像を拝めば、「ギデオンが得たあの素晴しい勝利にあずかれる、小さな力で大きな敵に立ち向かう力が与えられる。」と考えこの像を拝むようになったのです。こうして、神様が選んだリーダーによって取り戻された平和は再び堕落をしていくことになります。
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母:
さあ、このギデオンの紙芝居をしてどう思いましたか?
陽子:
ギデオンという人は最初は臆病だったけど最後には勇敢なリーダーになったよね。不思議に聖書に出てくるイスラエルのリーダーはモーセにしても神様に選ばれてもすぐには応じなかったけど、結果として強くなっていくんだね。
勇:
なるほど、僕も臆病な方なので励まされるな。でも、神様はどうして兵隊を300人という少人数にしたんだろうか?
愛美:
それは、勝利は数ではなく神様への信頼と信仰によるのだということを教えようとしたんじゃない?ギデオンはどっちかというと疑い深くて証拠がないと信じないという人だったでしょう?それは裏を返せば、人間が持つ物や知識、強さがあれば何でもできるという価値観だったと思うのよね。人数は少なくなったけれども、信仰と知恵があり勇気のある人々が一致団結することによって勝利をもたらしたと思うのね。
父:
なるほどね、よく私達の傾向として人数を集めて組織化してから行動を起こすというのが常識になっているけれど、一人や、二人でも同じ気持ちでやる時にそれ以上のことができる場合もあるということは経験しているね。
勇:
一つ残念なのは、ギデオンが偶像を作ったということなんだよね。神様が最も嫌がることなのにどうしてそうなるのかな?
母:
とてもいい質問ですね。この士師記の時代は三百年間(士師記11:26)ということで、だいたいBC1400~1100頃のことと考えられると思います。信仰を捨て異教徒の偶像礼拝に陥り、そのため神様が外敵を遣わされると信仰が呼び覚まされて神様に助けを求める。 神様は憐れんでさばきつかさ(士師)を起こしてイスラエルを助ける。彼らが治めている間は平和がもどるが、死ぬとすぐに 神様を捨て偶像礼拝にもどってしまう。この繰り返しです。まさに人間の弱さを象徴しているような感じですね。
父:
人は困難な時には本心に立ち返り反省もし、神様を信頼するけれどいったん問題が解決したり、おもわぬ成功を勝ち取ったりすると往々にして傲慢になって神様を忘れ自分が偉いと思ってしまうんだね。そういうことにならないようにお互いに注意をしようね。
母
そうですね。神様は悔い改める心を良しとされ助けてくださいます。目に見えるもので判断しないでその心を見抜かれる神様にお従いしたいと思います。お父さん、お祈りお願いできますか?
父:
はい、お祈りしましょう!
今日も、家族みんなで礼拝し、神様が私たちに望んでおられることを学ぶことができたこと、ありがとうございます。ヨシュアのあなたへの全き信頼にある信仰を受け継いだユダヤの人々も間もなく自分たちが作り上げた偶像を崇拝し、あなたを忘れ遠ざかってしまいました。私達も往々にして自分の知恵や力に頼り過信し、あなたへの信頼を失い、御心に背く生き方をしてしまいます。いつもあなたの御心をもとめて毎日正しい歩みができますようにお導き下さい。イエス様の御名によってお祈りいたします。 アーメン!
後奏:「主に賛美」