7月18日礼拝メッセージ:「見えないもの」の価値

礼拝メッセージ:「見えないもの」の価値

 

聖書:コリントの信徒への手紙二 4章18節
わたしたちは見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです。

 

私達は実に見えるものばかりに価値をおく、それに従って、また目標として生活をしているような気がします。たしかに、そうせざるを得ない部分もあるでしょう。

 

人の外見や学歴、身体が健康か病気や障害があるか、そして人が生み出した習慣や、常識、社会規範、また競技実績で優劣が決まるスポーツや芸術に秀でているか否か、さらに現代でいえば、科学で常識と思われて長年信じられてきたこと、統計、ガイドライン、マニュアルなども広い意味で目に「見えるもの」としてとらえる事ができると思います。私達の毎日の行動、生き方の意思判断や、人生の価値の基準となるものが、これらの「見えるもの」なのか、それとも「見えないもの」なのか?

 

しかし、現実は見える私たちの世界でさえ、これから起こってくるであろうこと、確実なこと、あるいは不確実なことを果たして、正確に把握をすることができているでしょうか?

「いやいや、確かな証拠があるから大丈夫」と言っても、全てうまく物事が運ぶとは限りません。また、見えるものが手の中にあるからといっても本当に安心していられるでしょうか?

これが、まさにコロナの時代には顕著にあらわれていて、私達が動揺させられていることではないでしょうか?

例えば、「ワクチンをうつのはいいことかもしれないけど、本当に安全なの?」という質問がけっこうでていますね。「オリンピックを見るのは楽しいけれど、今回は一体誰のためのオリンピックなんだろう?」と疑問を持つ人も少なくありません。「このような状態がいつまで続くのだろう?」という疑問に誰が的確に答えてくれるのでしょうか?

このように私達は見えるからといってそれが本当の真実なのかということがなかなか難しい時代に生きていると思います。

 

それでは、聖書でいう「見えないもの」とはどういうものなのでしょうか?

ここで、聖書のあるお話をしたいと思います。

イエス様が生き返られたことを信じられなかった弟子トマスの有名な場面です。

(参考)ヨハネによる福音書 20:24-29

 

 

イエス様が十字架に架けられ、亡くなった後、悲しみに沈んでいたトマスは、他の弟子たちが「わたしたちはよみがえられたイエス様を見たんですよ!」と何度も伝えたのですが、彼はその場所にいなかったので信じることができませんでした。トマスは「人がよみがえるはずがない」というこの世の常識に捕らわれてしまい、真実を見ることができなかったのかもしれませんね。

「この目で十字架の釘の跡を見て、そこにこの指を入れてみなければ、そしてわき腹にも手を入れてみなければ、私は絶対に信じない!」そう言ってトマスは信じようとはしませんでした。

それからしばらくたって、鍵をかけていた部屋に、イエス様が現われたのでした。イエス様は、トマスに向かって「あなたの指でわたしの手に触ってごらん、ちゃんと見てごらんなさい。あなたの手を、わたしのわき腹に入れてごらんなさい。信じない者ではなく、信じる者になりなさい。」といわれたのです。

 

トマスはイエス様の前にひざまずいて泣きながら「わたしの主、わたしの神よ」とひれ伏したのです。トマスの疑いは、復活のイエス様との出会いによって消え去りました。そしてイエス様を「わたしの主」と告白するようになったのです。

 

しかし続いてイエス様はそこでさらにこうおっしゃいます。「わたしを見たから信じたのか。見ないで信じる人は、幸いである。」この言葉はトマスに向けられた言葉ですが、私たちにもそう語っておられるのです。

 

その後、トマスはイエス様の教えに従って宣教師としてインドにでかけ、困難な中でも布教を続け、その地で殉教したと伝えられています。インドのキリスト者は非常に彼を尊敬していると聞いています。

余談になりますが、私達がインドのケララ州にいたときに、トマスが船で到着したと言われる場所に2回ほどバスに揺られながら訪れたことがあり懐かしく思いおこします。

 

フィリピ人への手紙1章9節―10節
「知る力と見抜く力を身に着けてあなたがたの愛がますます豊かになり、本当に重要なことを見分けられるように」という祈りの言葉があります。

 

私達も、いろいろな見えるもの(広く深い情報)を集め知る力を身に着けて、さらにその事実から、その背後にある真実を、そしてものごとの本当の姿をはっきりと見抜いて、「見えないもの」人々への共感と愛を大切にする心を養い、それに基づいた判断と生き方、対応の決断をしていくことが、現代の多様な価値観がうまれ、個人主義、分断の時代にますます必要になってくるのではないでしょうか?

 

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