令和4年3月27日 ヨハネによる福音書 講解 第27回 「復活の主に出会って」

聖書:

 

前奏:

 

 

皆様とともにヨハネ福音書を1章から読みながら考えてまいりました講解メッセージも今回と次回で終わりになります。

キリスト教にとってまさに中心的意義をもつ「復活」の記事が20章に書かれています。

今回、この場面にでてくる二人の人物を取り上げてみたいと思います。一人は、復活の主に最初に会ったマグダラのマリア、そしてもうひとりは、弟子のトマスです。

 

1節で、「一週の初めの日に」とは、イエスさまが亡くなってから3日目の日曜日の朝のことです。まだ薄暗いうちに、マグダラのマリアはイエスさまが葬られていたお墓に行きました。他の福音書を見ると、マグダラのマリアの他に2人の女性が一緒であったことが記されています。彼女たちは、イエスさまが十字架につけられたときも、お墓に葬られる時もずっとそばにいました。イエス様が復活して最初にご自身を現されたのは弟子たちではなく、このマグダラのマリアだったのです。なんと彼女にとって、光栄なことであり、最高の喜びだったことでしょう!

 

まず、このマグダラのマリアという女性はどういう人であったかと言うことに関心があろうかと思いますが、色々な解釈があり定まっていません。

ただ、マグダラのマリアについて四福音書がはっきりと語っているのは、イエスさまによって七つの悪霊を追い出された女性であるということです。一方マルコ7章では、「罪深い女=娼婦」がマグダラのマリアと同一視され、イエスさまの足に涙を落し、自らの髪でナルドの香油を塗ったと伝えられています。しかし、ヨハネの福音書では、香油を注いだのは、マルタ、ラザロの兄弟のマリアだと書かれています。イエスさまがベタニアで、ラザロを蘇らせた後の出来事でした。マグダラのマリアとベタニアのマリアが同一人物であったという説もありますし、そうではないという説もあります。

 

参考:
当時マリアという名前が多かったのではないかと考えます。少なくとも聖書にでてくるマリアは4人ほど挙げられます。すなわち、イエスさまの母マリア(聖母マリア)、マグダラのマリア、ベタニアのマリア(マルタ、ラザロの兄弟)、そしてクロパの妻マリアです。

 

弟子たちもそうだったのですが、このマリアもイエスさまが復活するという事は思いもしなかったということがわかります。ところが、そんな彼女の目が開かれる時がやって来ます。それは、イエスさまが彼女の名前を呼ばれた時です。16節、「イエスは彼女に「マリヤよ」と言われた。マリヤはふり返って、イエスにむかってヘブル語で「ラボニ」と言った。それは、先生という意味である。」

イエスさまというお方は、人類の救いという大きな使命がありましたが、同時に、私やあなたのような個人に、親しく向き合ってくださるお方であるとこの場面でも教えられます。

 

しかし、疑問なのは9節です。「しかし、彼らは死人のうちからイエスがよみがえるべきことをしるした聖句を、まだ悟っていなかった。」というところです。

イエスさまは弟子たちに、今後起こることのすべて(復活を含めて)をお話されていたはずです。それに、実際にラザロをよみがえらせたあの奇蹟をも目撃していたにもかかわらず、弟子たちは、なぜ逃げてしまったのでしょうか?

 

18節にあるように、「マグダラのマリヤは弟子たちのところに行って、自分が主に会ったこと、またイエスがこれこれのことを自分に仰せになったことを、報告した。」とあります。報告を受けた弟子たちはどんな気持ちでしたでしょうか?彼らは、イエスさまを裏切ったという罪悪感と後悔があったと思います。それと同時に、「どうしてマグダラのマリアに最初に現れたのか?」と気持ちが沈んでいたかもしれません。

しかし、イエスさまは、このような弟子たちの心情を充分にご存知だったに違いありません。

 

19節でまずイエスさまが「安かれ」と言われたのです。また、手とわき腹に残る傷を見せられ、決して自分が幽霊ではないこと、十字架の前と同じように肉体を持っていることを示されました。なんと深いご配慮であるかと思います。もちろん鍵をかけた戸の中に入って来られたのですから、十字架の前の肉体とはちょっと違うのかもしれません。しかし、他の福音書には復活の主が弟子たちとともに食事をとられたということも書かれていますので、肉体として蘇られたということだと私は信じています。そして、21節以降で、新たに彼らに使命を思い起こさせ、勇気を与えられました。

 

さて、次は、話をトマスに移しましょう。

イエス様の復活をすぐに信じなかったエピソードから「疑いのトマス」或いは「不信仰なトマス」などと呼ばれることがあります。

彼は、どうしてその場所に居合わせなかったのかはわかりませんが25節で、「ほかの弟子たちが、彼に「わたしたちは主にお目にかかった」と言うと、トマスは彼らに言った、「わたしは、その手に釘あとを見、わたしの指をその釘あとにさし入れ、また、わたしの手をそのわきにさし入れてみなければ、決して信じない」といったのです。

 

果たして、イエスさまは8日後にまた弟子たちに現れました。そのときにはトマスもいましたので、彼が望むように主は27節で、「あなたの指をここにつけて、わたしの手を見なさい。手をのばしてわたしのわきにさし入れてみなさい。信じない者にならないで、信じる者になりなさい」といわれたのです。

 

 

この言葉は、まさに現代の私達にも語っておられるのだと思います。

トマスは、キリストに出会い、自分の人生を意義づけようとする思いから、十字架の救いに「委ねる」歩みに導かれたのです。信じきれなかったという弟子としての「失態」は、汚点で終わるのではなく、むしろ、この転換こそがトマスの救い主との真実な出会いをもたらしたのではないでしょうか?

 

以前、私達夫婦が南インドのケララ州で地域緩和医療を6ヶ月していた頃に、トマスが上陸したという岩を見に行ったことがあるとお話をしたことを覚えておられますか?

彼はその後、聖書の記述にはありませんが、伝承によるとイエスさまが昇天された後、トマスはインドに宣教師として行ったと言われています。そして、最期は南インドの地で異教徒に槍で刺されて殉教したと伝えられています。

 

私達もふがいなさのために、自分に失望することもあると思います。また未来への不安や恐れで心が閉ざされる時もあります。弟子たちのように、扉に鍵をかけて閉じこもりたくなるときがあります。逆に外に出たくても自由に出ることのできない、現在のような閉塞感に満ちた日々を送らねばならない時もあります。今のウクライナの人々も命を脅かされている戦禍の中で苦しんでおられます。しかし復活されたイエスさまは「あなたがたに平和があるように」とおっしゃってくださっていることに希望の確信を持ちましょう。

 

「私ができることは、平和を祈るぐらいしかできません。」と消極的に言いがちですが、この祈りがどれほど大事かということを私は申し上げたいと思います。そして、祈りはだれでも、どこでもできます。世界中の人々がこぞって平和の祈りを真剣に唱えることが必要なのです。

ヤコブの手紙5:16にも、「ですから、互いに罪を告白し、祈り合いなさい。正しい人の祈りは大きな力があり、驚くほどの効果があります。」と言っています。

 

弟子たちは、イエスさまから新しい使命に生きる者とされました。それからの彼らの人生は、口だけの「平和」ではありませんでした。むしろ、困難な道を彼らは歩んでいったのです。迫害や困窮の中を彼らは歩みました。こののち、彼らは再び涙を流すこともあったでしょう。恐れを感じることもあったでしょう。しかし、もはや復活の主イエスと出会う前の彼らではありませんでした。

 

明日はどのような日か私たちには分かりません。しかし、どのような日であっても、どんな未来がきても、私たちの涙は拭い去られ、恐れは平安へと変えられるのです!

今日も、ロシアとウクライナの戦争が一日も早く終わりますようにと祈りましょう。

 

 

後奏:

 

皆様にお願い致します。
この度、ハンガーゼロ(日本飢餓対策機構)とご縁ができました。私は岐阜県の市長である柴橋正直氏が会長を兼務するクリスチャンの政治家が祈りあう「オリーブの会」の一員ですが、そのメンバーであるハンガーゼロの総主事である、近藤氏、申氏、ジェロム氏の3名が緊急支援チームとしてポーランドに向けて3月21日に派遣されました。多くの募金活動が全国でなされていることはとても感謝なことです。それぞれの働きの上に神様の祝福をお祈りいたします。

これから寄付をしたいと思っている方、あるいはすでになさっている方ももう一度支援したいとお考えの方、私もハンガーゼロのウクライナ支援募金活動をサポートしたいと思い準備をしています。トンガの海底爆発義援金と同じく、私が責任を持って、ハンガーゼロに送金し、皆様にご報告を致します。金額は問いませんが、細かいお金の場合は、ゆうちょ銀行口座では取り扱いが困難であることを聞いておりますので、わたしがとりまとめて札に換えてお送りします。私の口座は以下です。お近くの方は直接お持ちください。また、串本町での街頭募金も致しますので、その時にでもお願いできればと思っています。よろしくお願いいたします。

なお、募金活動期限は5月31日といたします。

連絡先:

onomegumi99@me.com
携帯:090-4902-7608

〒649-3510和歌山県東牟婁郡串本町サンゴ台1060-144

小野惠: 

口座きのくに信用金庫 串本支店(033)

口座番号:8229795 普通口座

 

参考資料:

https://www.hungerzero.jp/activity/archives/202203/003432.html

2022年03月25日 ポーランド緊急支援チームからの報告①

https://www.jifh.org/news/2022/03/post-672.html

ソン・ソルナム親善大使がポーランド国境で慰問演奏

 

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